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気づくと、子どものメガネが鼻の下のほうまでずり落ちている。直してもまたずれる、そもそも本人が気にしていない——毎日のことなので、気になりますよね。
先に結論です。メガネは「かけていればいい」ものではなく、正しい位置でかけてこそ、作ったとおりに見えます。ずれが気になったら、家で直さずに眼鏡店で調整してもらってください。あわせて、正しい位置を保つための道具もあります。
書いているのは、眼科で検査を担当している視能訓練士(CO)の夫婦です。ずり落ちる理由と、家庭でできること・できないことを整理していきますね。
なぜ子どものメガネはずれるのか
子どものメガネがずれる理由は、大きく分けて2つあります。顔の形・扱いです。
① 顔の形
子どもは、まだ鼻が低い子も多いですよね。鼻パッド(鼻に当たる部分)がきちんと合っていても、構造的にずり落ちやすいことがあります。大人と同じようには、鼻でメガネを支えられないからです。
成長とともに、鼻の高さや耳の位置は少しずつ変わっていきます。顔の形が変われば、作ったときに合わせたフィッティングも合わなくなっていきます。
② 毎日のかけ外しや活動で歪むことがある
片手で外す、机に置く、そのまま走り回る。毎日のことなので、鼻パッドやツル(耳にかける部分)が曲がることがあります。少し曲がるだけで、かけたときの位置は変わります。
ここは、ご家庭でできることがあります。メガネは両手で、耳にかかっている部分を持って外す。これだけです。片手で引っぱって外すと、ツルが左右に広がっていきます。お子さんに声をかけてみてください。
私たちも検査室で、ずり落ちたままのメガネでいらっしゃるお子さんにお会いすることがあります。ずれは、体と道具の関係で起きていることがほとんどです。
メガネのレンズには、適正な位置がある
メガネのレンズには「アイポイント」と呼ばれる適正な位置があります。レンズの構造上の中心と目の中心が合うように作られた場所です。(レンズの構造上の中心と、フレームの見た目上の中心はずれる場合があります。)
メガネがずり落ちたり傾いたりすると、この位置がずれます。すると、本来とは少し違う見え方になります。度数が強いほど、その影響は大きくなります。
眼鏡店では、メガネをかけた状態で黒目とレンズの位置関係を確認します。視線とレンズの中心を合わせるのが、フィッティングの基本とされています。
ただし、アイポイントが合っているかは、見た目だけではわかりません。位置を合わせるには、鼻パッドやツルの角度の調整が必要です。家庭でできることではありません。
ご家庭で気にかけていただきたいのは、もっと目で見てわかることです。

- 鼻の下のほうにメガネが乗っていないか(鼻眼鏡になっていないか)
- 左右に傾いていないか
- フレームが歪んでいないか
- 鼻パッドがつぶれていないか
気になる項目があれば、眼鏡店へ持っていって、調整ができるか相談してみてください。
正しい位置でかけることが、なぜ大切か
まず前提として、どんなメガネでも、正しい位置でかけることは大事です。近視用のメガネも例外ではありません。ずれた状態では見え方の質が落ちて、違和感や目の疲れにつながることがあります。眼鏡店が装用感を大切にし、アイポイントを重視するのは、そのためです。
そのうえで、弱視や斜視の治療のためのメガネ(治療用眼鏡)は、位置のずれがもっと大きな意味を持ちます。
治療用のメガネは、度数が強いことが多いのが特徴です。度数が強いほど、位置のずれによる影響は大きくなります。
さらに気をつけたいのが、「鼻眼鏡」の状態です。ずり落ちて、鼻の下のほうにメガネが乗った状態のこと。こうなっていると、レンズを通さずに、レンズの上から見てしまっていることがあります。メガネをかけているつもりでも、実際には裸眼で見ている。そんな状態です。私たちも検査で目にすることがあります。
治療用のメガネは、単に「見えるようにする」だけのものではありません。視力の発達そのものに関わるものです。だからこそ、寝るときとお風呂以外は基本的にかけ続ける(常用する)ことが前提になっています。
ところが鼻眼鏡になっていると、かけているつもりの時間のなかに、レンズを通して見ていない時間ができてしまいます。メガネの位置が合っていないために、思ったような治療効果が出ていないこともあります。
ご家庭での装用状態で気になることがあれば、主治医や眼科のスタッフに相談してみてください。
「歪んでいるかも?」と思ったら、眼鏡店へ
ずれや歪みが気になったときは、まずは眼鏡店で調整ができるか相談してみてください。
眼鏡店では、黒目の位置、左右のバランス、レンズの傾き、耳への当たり具合などを確認します。そのうえで、その子の顔に合わせて整えてくれます。メガネは、一人ひとりの顔や頭の形に合わせて調整されているのです。
人の顔や頭は、左右対称ではありません。耳の高さも、頭の形も、左右でわずかに違います。眼鏡店では、それらに合わせて、メガネを正しくかけられるように調整しています。
そのため、外した状態で見ると「なんだか左右が違う気がする」ということもあります。歪んでいるかな?と心配になったら、自分で戻さずに、眼鏡店で相談してみてください。その子に合わせた状態なのか、本当に歪んでしまっているのか。その場で見てもらえます。
気になったときに、ご家庭の判断で眼鏡店に持っていってかまいません。私たちも検査のたびに装用状態を見ています。調整をご案内したときは、眼鏡店に持っていってください。判断がつかないときは、眼科の受診時に見せてくださいね。
ご家庭でできるのは、両手で丁寧にかけ外しすること、ずれていないか気にかけること、そして気づいたら眼鏡店に持っていくこと。まずはこの3つを意識してみてください。
正しい位置を保つための道具|バンド・耳かけフック
ここからは、メガネを正しい位置に保つための道具を紹介します。
「調整してもらったばかりなのに、もうずり落ちている」「せっかく合わせてもらった位置を、なるべく保ってあげたい」。そんなときに使えるものがあります。眼鏡店での調整に加えて、補助として取り入れられる道具です。
特別なものではありません。近視用のメガネでも、治療用のメガネでも使われています。ずれに困ってから使い始める子もいます。最初から「より確実に、正しい位置でかけられるように」と取り入れている子もいます。
私たちからお伝えすることが多いのは、次のような場合です。
- 顔の形(鼻が低いなど)で、調整をしても構造的にずり落ちてしまう子
- 毎日のかけ外しでメガネが歪みやすく、調整だけでは追いつかない子
ただ、この2つに当てはまる子だけのもの、というわけでもありません。検査室でお会いするなかでは、バンドや耳かけパーツを使っているお子さんは、メガネを正しい位置でかけられていることが多い。そんな印象を持っています。
ずり落ちにくくなれば、かけ直す回数そのものが減ります。かけ直しのたびに、メガネは少しずつ歪んでいきます。だとすれば、位置が保たれること自体が、メガネを良い状態に保つことにつながっているのかもしれません。これは私たちの印象で、確かめられたことではありません。ただ、使えるものは使ってよいと思っています。
メガネの扱い方には、子どもによって差があります。頭からかぶるようにかけたり、片手で勢いよく外したり。メガネが歪みやすい扱いというのは、やっぱりあります。とはいえ、そのたびに眼鏡店へ、というのもご家庭では難しいですよね。調整に行くまでの間、正しい位置を保つ助けとして道具を使うのは、十分にありだと思います。
メガネバンド(スポーツバンド)
ツルの先どうしを後頭部でつなぎ、メガネ全体を頭に固定するタイプです。鼻で支えきれない分を、後ろから引いて支えるしくみ。下向きの姿勢や体育・外遊びでもずり落ちにくくなります(効果の程度は商品によって差があります)。素材や幅にも種類があるので、耳の後ろに当たる部分がやわらかいものを選ぶとよいと思います。
楽天市場で「子ども用メガネバンド」を見てみる耳かけフック(シリコン)
ツルの先に差し込んで使う、やわらかいパーツです。耳に引っかかりやすくなり、前にずれてくる動きをおさえやすくなります。バンドは目立つのが気になるお子さんでも、取り入れやすい方法です。
楽天市場で「メガネのずれ防止パーツ」を見てみるずれにくさや装着感は、商品やお子さんのメガネとの相性によって変わります。サイズや取り付け方を確認して、迷うときは眼鏡店に相談してみてください。
まとめ
子どものメガネのずれについて、大事なところを振り返ります。
① メガネは正しい位置でかけてこそ、作ったとおりの見え方になる。
② 子どものメガネがずれるのは、鼻の低さや、毎日のかけ外しといった理由から。
③ 治療用のメガネは度数が強いことが多く、ずり落ちるとレンズを通して見ていないことがある。治療の効果を出すために、良い装用状態を保つことが大切。
④ 歪みやずれが気になったら、自分で直さずに眼鏡店へ。人の顔は左右対称ではないので、その子に合わせた結果として、歪んで見えることもある。
⑤ 正しい位置を保つ補助として、バンドや耳かけフックという道具もある。
「またずれてる」と気になるのは自然なことです。その気づきは、そのまま眼鏡店や眼科に持っていってください。とくに治療用のメガネや治療の進み具合については、必ず主治医にご相談ください。私たち視能訓練士も、検査のたびにかかり具合を見ています。気になることがあれば、遠慮なく聞いてくださいね。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 眼鏡技術者による「アイポイント」「フィッティング」の一般公開解説(視線とレンズの光軸を合わせるという基本原則、鼻パッド・前傾角・テンプルの調整項目について)
- 眼鏡技術者による解説(人間の顔・頭は左右対称ではなく、それに合わせてフレーム側を調整するという考え方)
- 視能訓練士夫婦が検査室で日常的に見る一般的な傾向(特定の患者さんのエピソードではありません)
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。見え方や目の状態、メガネの合わせ方には個人差があります。治療用眼鏡の使い方や治療の方針については、必ず主治医にご相談ください。気になる症状があるときは、眼科を受診してください。
